Visual Studio小説モード
Visual Studio Codeで小説を執筆するための機能拡張です。
リアルタイム更新する原稿用紙プレビューで印刷時の組版に近い読み方を確かめつつ、会話と地の文、名詞や動詞、助詞などの品詞ハイライトを備えたエディターで執筆を行うことが可能です。句読点のぶら下げも行う原稿用紙プレビューは1行当たりの文字数を指定できますので、新聞原稿のように13文字や15文字といった短い行の文字送りを確かめながら執筆できます。
CSS組版システムVivliostyleを用いることで、原稿用紙プレビューと同じ字数行数で組版されたPDFも出力できます。
novel-writerは長編小説(ノベル)の執筆支援を行います。
単一のテキストファイルではなく、章や部を想定し、入れ子になったフォルダーに保存する複数のテキストファイルの文字数を表示したり、複数のテキストファイルを単一のファイルに結合したりする機能を備えています。
また、特定のフォルダーを「締め切りフォルダー」に指定することで、そのフォルダーが含む複数のテキストファイルの文字数を表示することも可能です。
## ハイライト
novel-writerは小説で用いる会話文や青空文庫注記法などをハイライトします。
- 鉤括弧(「」)で挟まれた会話
- 青空文庫の注記
- ルビ
- [#「」に傍点]
- そのほか、[#……]で記される記法
- 数字と単位
- 品詞
名詞、固有名詞、代名詞、助詞、形容詞、形容動詞、動詞、接尾語、数詞をハイライトします。詳しくは直下の品詞ハイライトを参照してください。
品詞ハイライト
novel-writerは形態素解析を用いて分割した品詞をハイライトすることができます。テキストの可読性が向上することを期待して実装した機能です。
品詞はVisual Studio CodeのSemantic Highlighting(文脈依存ハイライト)で行っています。色を変更したい方はReadmeの末尾にある付録を参照し、お好みのカラーにカスタマイズしてお使いください。
初期設定では、名詞が青系統、動詞、形容詞がマゼンタ系統、副詞をオレンジ色、会話を緑系統にまとめています。
品詞ハイライトは、設定でオフにできます。ワークスペースごとに設定することも可能です。
品詞ハイライトにはJavaScriptの形態素解析ライブラリ Kuromoji.js を利用しています。素晴らしいライブラリです。この場を借りてお礼申し上げます。
サイドパネル
サイドパネルの原稿ツリーでは、原稿フォルダー(あるいはDraftフォルダー)に含まれているテキストファイルの一覧から、目的のファイルをすぐに開くことができます。 原稿フォルダーはテキストファイルそれぞれの文字数、フォルダー内のテキストファイルを合算表示しています。また、視認性を高めるために、テキストファイルを並べるために用いる、ファイル先頭の数字や拡張子を隠しています。
文字数のカウント
現在編集中のファイルの文字数と、ワークスペースにあるテキストファイル全てを合算した文字数をステータスバーに表示することができます。ワークスペースに「原稿」あるいは「Draft」という名称のフォルダーがある場合には、そのフォルダーの中だけを計算します。
締め切りフォルダーの設定
バインダーで任意のフォルダーを[締切フォルダー]に指定すると、そのフォルダーに含まれる文字数だけを表示することができます。
連載原稿の文字数を数えることも可能です。目標の文字数も設定できるようになりました。
原稿のコンパイルを実行すると、締め切りフォルダー内のテキストファイルを結合します。
編集距離の表示
Gitでファイルの履歴を管理している場合には、前日から現在までの編集距離をリアルタイムに表示します。
改稿した分量を把握するのにお使いください。
次のシーン、前のシーンへ移動
novel形式の書類を開いているときには、前のシーンにあたるファイルや、直後のシーンを開くナビゲーターが表示されます。 ナビゲーターは設定で表示しないように設定できます。
ルビの挿入
novel-writerは青空文庫スタイルのルビを挿入できます。 Novel:ルビの追加(またはCtrl+R/Command+R)を実行するときに選択範囲があれば、選択範囲にルビを振ります。選択範囲がない場合には、カーソル前方の単語、またはカーソルが入っている単語にルビを挿入します。
文末辞の切り替え
novel-writerは、日本語の小説で使われる連体形文末辞(〜していた。〜と言った。〜を持った。)と終止形文末辞(〜している。〜と言う。〜を持つ。)を切り替えることができます。
「Novel:文末辞入れ替え」コマンドにキーボードショートカットを登録してお使いください。文章のリズムを整える作業が軽減できることでしょう。
原稿用紙プレビュー
コマンドパレットの[Novel:縦書きプレビュー]で、現在使っているエディタのテキストを、原稿用紙プレビューすることができます。原稿の表示方法は、縦書きと横書き、一行あたりの文字数を指定することができます。
プレビュー画面はlocalhost:8080に出力していますので、ブラウザーや同じLANの他コンピュターから閲覧することもできます。
小さな画面で書く場合、またはVS Codeのウインドウを無駄に使いたくない場合には、[Novel:プレビューサーバーを起動]を実行して、別画面のブラウザーやブラウザーや他のコンピューター、スマートフォン、タブレットのブラウザーから縦書きプレビューを閲覧することもできます。
縦書きプレビューでは、二桁のASCII数字を縦中横に組んで表示します。
プレビュー画面との画面連動
縦書きプレビューでクリック(あるいはタップ)すると、エディタがスクロールしてタップした行を選択します。長いテキストを推敲するときにご利用ください。
プレビュー設定
Extension Settings で、文字サイズと一行あたりの文字数、ページあたりの行数を設定してお使いください。 正規表現による検索置換をカスタマイズすることで、オリジナルのタグを挿入することも可能です。
組み方向の変更
設定でプレビューの縦組と横組を選択できます。
プレビューフォントの設定
プレビューフォントの設定が可能です。
Contributed by yasudaz](https://github.com/yasudaz)
版面指定
1行あたりの文字数、1ページあたりの行数を指定できます。
正規表現検索置換
出力するHTMLを検索置換することができます。オリジナルのタグを挿入する場合などにご利用ください。
PDF出力
novel-writerはVivliostyle/CLIを用いて、選択しているテキストファイルのA5変型版(130mm×190mm)の縦書きPDFを出力します。以下のコマンドをでVivlioStyleをインストールしてからPDF出力を実行してください。
npm install @vivliostyle/cli -g
1行が短く、ページあたりの行数が長い場合には段組で印刷します。
PDFを保存するときは、コマンドパレットから「Novel:PDF出力」を実行してください。
- PDF出力にはワークスペースが必要です。フォルダを開いて利用してください。
PDF出力設定
novel-writerのPDF出力は原稿のために開発していますが、簡単な冊子の本文作成にも利用できます。
PDFページ番号フォーマット
ページ下部のページ番号のフォーマットを指定できます。
初期値の${projectTitle} ${typesettingInformation} ${pageNumber}
を用いると、
作品名 22文字 x 13行 12
とフッターに挿入されます。以下に例を示します。
page ${pageNumber} → page 12
- ${pageNumber}- → -12-
${projectTitle} p${pageNumber} → 作品名 p12
PDF開始ページ番号
PDFのページ番号の開始ページを指定できます。
PDF開始ページの左右設定
PDFの第一ページを左右どちらにするか設定できます。 冊子の場合は「左」に、原稿提出の時は「右」にしておくといいでしょう。
テキスト結合
ワークスペース中のテキストファイルを結合し、publishフォルダーの中にプロジェクトのフォルダー名のファイルを作ります。
ワークスペースに「原稿」あるいは「Draft」という名称のフォルダーがある場合には、そのフォルダーの中のテキストのみ結合します。もしも締め切りフォルダーが指定されていれば、締め切りフォルダー内のテキストファイルを結合します。
novel-writerは階層化されたフォルダーの中のテキストも結合することができます。
資料などをワークスペースに保存している場合には、テキストファイルを「原稿(あるいはDraft」フォルダーに入れておいてください。
参考にした文献
novel-writerはさまざまなWeb文書を参考にさせていただきました。特に参考になったのは以下の二つのウェブサイトです。
VSCodeで俺々言語モードを作る https://qiita.com/takl/items/ba2f63db515f66585d1f
Language Grammars https://macromates.com/manual/en/language_grammars
Copyright
MIT
縦書き表示を行う方法については、MITライセンスで公開されているn-fukiju/縦書きプレビューのコードを大いに参考にさせていただきました。 幾らかはそのまま利用させていただいています。 n-fukuju/vertical-writing-vsce
文字数を計算する部分、ステータスバーでの文字数表記は、MITライセンスで公開されている8amjp/vsce-charactercountの成果を使わせていただいています。 8amjp/vsce-charactercount
付録
ハイライト設定
機能拡張に内蔵しているデフォルトのハイライト設定です。
色を変更したい場合にはこの設定を編集して、SettingsのEditor > Semantic Token Color Customizationsを書き換えてください。
"editor.semanticTokenColorCustomizations": {
"[Default Light+]": {
"enabled": true,
"rules": {
"noun": {
"foreground": "#4e549a"
},
"noun.dialogue": {
"foreground": "#20a23a"
},
"proper_noun": {
"foreground": "#0041cc"
},
"proper_noun.dialogue": {
"foreground": "#004b70",
"fontStyle": "bold"
},
"enum": {
"foreground": "#001c78"
},
"enum.dialogue": {
"foreground": "#00b4a8"
},
"suffix": {
"foreground": "#676767"
},
"suffix.dialogue": {
"foreground": "#58adc0"
},
"personal_pronoun": {
"foreground": "#580000"
},
"personal_pronoun.dialogue": {
"foreground": "#005772"
},
"pronoun": {
"foreground": "#34009b",
"fontStyle": "bold"
},
"pronoun.dialogue": {
"foreground": "#0068f0",
"fontStyle": "bold"
},
"punctuation": {
"foreground": "#000000"
},
"punctuation.dialogue": {
"foreground": "#284080",
"fontStyle": "bold"
},
"bracket": {
"foreground": "#d43c00d3"
},
"bracket.dialogue": {
"foreground": "#9a0b0bd3",
"bold": true
},
"bracket.quote": {
"foreground": "#0b1e9ad3"
},
"adverb": {
"foreground": "#b04d02"
},
"adverb.dialogue": {
"foreground": "#30be91"
},
"auailiary_verb": {
"foreground": "#da05ff"
},
"auailiary_verb.dialogue": {
"foreground": "#567387"
},
"verb": {
"foreground": "#8800ff"
},
"verb.dialogue": {
"foreground": "#7fad00"
},
"particle": {
"foreground": "#0000ff"
},
"particle.dialogue": {
"foreground": "#059f2e"
},
"adjective": {
"foreground": "#0771a7"
},
"interjection": {
"foreground": "#ac6404",
"fontStyle": "bold"
},
"interjection.dialogue": {
"foreground": "#20b336",
"fontStyle": "bold"
},
"*.quote": {
"italic": true,
"bold": true
},
"*.aozora": {
"foreground": "#9d9d9d",
"italic": true
},
"bracket.aozora": {
"foreground": "#c28458"
}
}
},
"[Default Dark+]": {
"enabled": true,
"rules": {
"noun": {
"foreground": "#77c4fc"
},
"noun.dialogue": {
"foreground": "#1dfcbd"
},
"proper_noun": {
"foreground": "#5d8ffb"
},
"proper_noun.dialogue": {
"foreground": "#0efd52",
"fontStyle": "standard"
},
"enum": {
"foreground": "#8fa4e9"
},
"enum.dialogue": {
"foreground": "#02d4c6"
},
"suffix": {
"foreground": "#9489db"
},
"suffix.dialogue": {
"foreground": "#4efab0"
},
"personal_pronoun": {
"foreground": "#83c1ff"
},
"personal_pronoun.dialogue": {
"foreground": "#00aade"
},
"pronoun": {
"foreground": "#6767ff",
"fontStyle": "bold"
},
"pronoun.dialogue": {
"foreground": "#00c0f0",
"fontStyle": "bold"
},
"punctuation": {
"foreground": "#ffffff"
},
"punctuation.dialogue": {
"foreground": "#c7ffca",
"fontStyle": "bold"
},
"bracket": {
"foreground": "#d43c00d3"
},
"bracket.dialogue": {
"foreground": "#ff9900d3",
"bold": true
},
"bracket.quote": {
"foreground": "#5469f1d3"
},
"adverb": {
"foreground": "#ff882d"
},
"adverb.dialogue": {
"foreground": "#30be80"
},
"auailiary_verb": {
"foreground": "#fdb5ff"
},
"auailiary_verb.dialogue": {
"foreground": "#22ca73"
},
"verb": {
"foreground": "#fc50ff"
},
"verb.dialogue": {
"foreground": "#29ff9b"
},
"particle": {
"foreground": "#03cccf"
},
"particle.dialogue": {
"foreground": "#b7f0bc"
},
"adjective": {
"foreground": "#0771a7"
},
"adjective.dialogue": {
"foreground": "#07a74c"
},
"interjection": {
"foreground": "#ac6404",
"fontStyle": "bold"
},
"interjection.dialogue": {
"foreground": "#22c54b",
"fontStyle": "bold"
},
"*.quote": {
"italic": true,
"bold": true
},
"*.aozora": {
"foreground": "#807e7e",
"italic": true
},
"bracket.aozora": {
"foreground": "#c28458"
}
}
}
}